涙の、もっと奥のほう。
寂しくなかったのか…一人で私と行く覚悟も出来ているのか出来ていないのか曖昧なまま、お母さんは離婚を決断したそうだ。

「お父さんのことを心底嫌いになった訳じゃなかった…だけど姑や、自分の旦那と一緒にいることが苦しくて…もう駄目だって思った時、何かが切れた。」

初めての結婚は、辛いだけのものになった…私は何もいえなくて、ずっと下を向いていた。

ドラマや漫画なら、きっとこの場面で『あんたが離婚したおかげで、あんたが死んだあと私は有り得ないくらい寂しい思いをしたんだからね』と責めるのだろう。

でも私は、責める気なんかさらさら無かった。
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