涙の、もっと奥のほう。

一夜…私の最期の日

龍奈を連れて龍真の家を出てから、半月後。

私はスナックにアルバイトに行きだした。

龍真から養育費を貰うつもりは無かったし、私は龍奈の母親だから、自分の腕一本で龍奈を食わせていく事を誓ったんだ。

飲めない酒を必死に飲んだ。

酔った奴の相手もこなした。

全ては愛娘のため…私の腹は座っていて、苦になっても苦にならなくなっていった。

彼氏こそいたものの、遠距離恋愛で…龍真を忘れるために付き合っていただけだった。

「まま」

ある日、龍奈が突然喋った。

満10ヶ月の秋の日。

昼職とスナックの掛け持ちに疲れて来ていた矢先で、ただ涙が出た。
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