前世
放課後。
約束通り、由美の従姉妹(いとこ)に会いに行った。
由美の家に着くと、とてもきれいな女の人がいた。
由美『従姉妹(いとこ)の沙織さん。そして、私の友達の香織』
沙織『初めまして。沙織です』
香織『初めまして…。香織です…』
沙織『話は色々と聞いてるわ。さっそくだけど…。無意識に身体が動いたりとか、身体がだるかったりなったりとかしてない?』
香織『あ…あります…』
沙織『そう…』
少しうつむくと、ゆっくりと話をはじめた。
沙織『おそらく…香織さんがみてる夢と関係がありそうね…』
香織『え…夢…ですか…?』
沙織『香織さんのすぐ隣にね、男の人が居るの。そうね、名前は…カイト…』
香織『カイト…』
沙織『香織さんが今まで見てきた夢は、おそらく前世の夢って所かな…。前世の記憶を夢でみてた感じ…』
香織『前世の夢…?記憶…?』
沙織『香織さんは、夢の中ではおそらく、違う名前だったはず…。うーん…アリス…だったのかな。』
香織『す…凄い…。当たってる…』
思わず、ビックリしてしまった。
名前まで当ててしまうなんて…。
沙織『前世で香織さん達は、とても仲良くて、お互い大好きだった。
だけど、身分違いのせいで、結婚は許されなかった。
だから、カイトと一緒に逃げていた。
ところが、香織さんは、周りから逃げる事が嫌になった。
きっと、怖くて不安だったのね。
それに、どんなに一緒に居たくたって、逃げていないと一緒に居られない。
それが嫌だったのね…』
うんうんとうなずながら、話を聞いていた。
そして、沙織さんが最後に言った。
沙織『今まで誰と付き合っても上手くいかなかったのは、カイトのせいで、香織さんは悪くないの』
香織『え…?』
沙織『ずっと一緒にいようって約束したでしょう?だから、カイトからすれば、香織さんを誰にも取られたくなったの』
香織『カイト…(半泣)』
沙織『カイトが今まで悪かった、本当にゴメンって謝ってるわ…』
香織『う…うぅ…(泣)カイトは…悪くないのに…(泣)』
沙織『…もう、泣かないで。大丈夫。大好きだからずっと傍にいる。ずっと見守ってるから安心してって…カイトが…(半泣)言ってる…(半泣)』
香織『沙織さん…(半泣)』
沙織『もう、大丈夫だから…安心して…ね…』
香織『はい…(泣)』
由美は遠くの方で二人を見ていた。
思わず、泣いてしまった。
そして、私は…。
カイトの事は忘れないように生きていこうと思った。
また、いつか、夢の中で会えるのを願いながら…
うーうん…
会えるって信じてるから…
今度は、笑って会えるといいね。
大好きだよ…カイト…。
そして、私は自分の家へ帰って行った。