前世
学校のチャイムが鳴った。
ギリギリ間に合った。
慌てて席につくと、隣の席の由実(ゆみ)がビックリした顔をしながら、こちらをのぞいていた。
由実『どうしたの?!ギリギリに来るなんて珍(珍しい)しいじゃない』
この子は、増田由実(ますだゆみ)。
私の隣の席の子。
明るくて元気な子だ。
香織『あぁー。何かね、夢を見すぎちゃったみたい(笑)』
由実『何それ(笑)?ちょーうけるー(笑)』
お腹を抱えながら笑われた。
恥(は)ずかしい。
やがて、授業(じゅぎょう)が始まった。
でも…。
私は授業に集中(しゅうちゅう)できなかった。
どうしても、夢を思い出してしまう。
どうしても、考えてしまう。
私がみたあの夢はいったい…。
その時、チャイムが鳴った。
キーンコーンカーンコーン…
先生『今日の授業はここまで。』
由実『ねぇ、香織(かおり)!』
香織『…』
由実『香織ってば!!』
香織『えっ?!な、何っ?!』
由実はあきれた顔をしていた。
由実『何じゃないでしょう(溜息)授業は終わったんだし…』
私は思わず苦笑いをしてしまった。
香織『ゴメン…』
由実『それより!今日は予定ある?』
香織『別にないけど…』
由実は嬉しそうな顔をしていた。
由実『あのさ、今日、合(ごう)コンが有るんだけど、一緒に行かない?』
香織『合コンね~』
由実『何そのあきれた顔ー。ひどーい』
香織『(笑)冗談(じょうだん)よ。行く行く(笑)』
由実『もー(笑)それじゃぁ、また、夕方ね!』
香織『うん、わかった』
由実『今日は先に帰るね』
香織『はいはい』
教室から由実は出て行った。
私もそろそろ帰るか。
合コンがあるし。