おひとりさま
エピローグ
恋をしたことはない。

これから、もしかしたら、するかもしれない。

だけど、一人が好きな自分の世界に、誰かが入ってくるなんて、今は想像できない。

本の物語のように、自然にできるものなのだろうか。

本は、あくまで本だ。

このまま、海が見られるだけで、幸せだと思った。

いつもの石段に座りながら、考えていると、

「おはようございます。」

犬を連れた、自分と同じくらいの歳の男に挨拶された。

「おはようございます。」

いつものように答えると、スマホのアラームが鳴った。

今日も一日始まる。
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