私と恋をはじめませんか
恋に落ちた新入社員
私が小学生だったある日のこと。
友達と公園で遊んで帰ってくると、家に有村さんが遊びに来ていた。
兄と一緒に録画したドラマを見ていて、私もその中に混じって観ていると、ひとりのかっこいいお兄さんが画面いっぱいに映っていた。
キラキラとしたまぶしい笑顔。
『かっこいい……』
そうつぶやいたのは、私だけではなく。
思わず、同じ言葉をつぶやいた有村さんと、目を合わせて笑いあった。
それから毎週、ドラマ放映日の翌日には、三人で録画したドラマを見るのが恒例になっていた。
『今日もかっこよかったねぇ、慎吾さん』
『うん、バッターボックスに入るときの表情、すっげーかっこよかった!』
「……というようなことを、有村さんと語っていたんですよ」
帰りの電車の中で、有村さんとの思い出話を崎坂さんに話すと、崎坂さんは大爆笑。
「有村が慎くんのファンだっていうのは聞いてるけど、そんな熱い感じでファンだったんだ?」
「ええ、もうふたりで勝手にファンクラブ設立するくらいの勢いですよ。この際だから言っちゃうと、私の初恋、慎吾さんですからね」
「じゃあ、うちのお姉ちゃんと一緒じゃん」
「えっ!? 崎坂さんのお姉さん、初恋実らせて結婚されたんですか?」
「そう。確か十四年近く片想いしてたはずよ、あの人」
「十四年、ですか?」
驚く私に、崎坂さんは、お姉さんの片想いの歴史を簡単に語ってくれた。
東京へ行った慎吾さんに思いを告げられない代わりに、いつも味方でいると誓ったこと。
中学、高校と勉強をまとめたノートを送って、応援していたこと。
何度諦めようと思っても諦めきれず、ついに告白したら両想いだったこと。
そして、想いが伝わってすぐ、プロポーズされたこと。
「一途、それでいて健気っ。お姉さん、素敵過ぎませんか?」
「でも周りは心配してたのよ。このままひとりでいるんじゃないかって」
「でも、今は幸せで、よかったじゃないですか」
「ま、そうなんだけどね。でも私は、結婚しても近くにいてほしかったんだけどなあ」
口ではそう言ってるけど、崎坂さんの目はとても幸せそうで、お姉さんの幸せを本当に喜んでいるのがわかった。
「いいなあ、私も幸せになりたいなあ」
「さっきも聞いたけど、小春ちゃん、今付き合っている人いないの?」
友達と公園で遊んで帰ってくると、家に有村さんが遊びに来ていた。
兄と一緒に録画したドラマを見ていて、私もその中に混じって観ていると、ひとりのかっこいいお兄さんが画面いっぱいに映っていた。
キラキラとしたまぶしい笑顔。
『かっこいい……』
そうつぶやいたのは、私だけではなく。
思わず、同じ言葉をつぶやいた有村さんと、目を合わせて笑いあった。
それから毎週、ドラマ放映日の翌日には、三人で録画したドラマを見るのが恒例になっていた。
『今日もかっこよかったねぇ、慎吾さん』
『うん、バッターボックスに入るときの表情、すっげーかっこよかった!』
「……というようなことを、有村さんと語っていたんですよ」
帰りの電車の中で、有村さんとの思い出話を崎坂さんに話すと、崎坂さんは大爆笑。
「有村が慎くんのファンだっていうのは聞いてるけど、そんな熱い感じでファンだったんだ?」
「ええ、もうふたりで勝手にファンクラブ設立するくらいの勢いですよ。この際だから言っちゃうと、私の初恋、慎吾さんですからね」
「じゃあ、うちのお姉ちゃんと一緒じゃん」
「えっ!? 崎坂さんのお姉さん、初恋実らせて結婚されたんですか?」
「そう。確か十四年近く片想いしてたはずよ、あの人」
「十四年、ですか?」
驚く私に、崎坂さんは、お姉さんの片想いの歴史を簡単に語ってくれた。
東京へ行った慎吾さんに思いを告げられない代わりに、いつも味方でいると誓ったこと。
中学、高校と勉強をまとめたノートを送って、応援していたこと。
何度諦めようと思っても諦めきれず、ついに告白したら両想いだったこと。
そして、想いが伝わってすぐ、プロポーズされたこと。
「一途、それでいて健気っ。お姉さん、素敵過ぎませんか?」
「でも周りは心配してたのよ。このままひとりでいるんじゃないかって」
「でも、今は幸せで、よかったじゃないですか」
「ま、そうなんだけどね。でも私は、結婚しても近くにいてほしかったんだけどなあ」
口ではそう言ってるけど、崎坂さんの目はとても幸せそうで、お姉さんの幸せを本当に喜んでいるのがわかった。
「いいなあ、私も幸せになりたいなあ」
「さっきも聞いたけど、小春ちゃん、今付き合っている人いないの?」