私と恋をはじめませんか
崎坂さんの言葉に、それもそうかと納得してしまう。
確かに頑張って私が話しかけない限り、篠田さんからは仕事以外のことで話しかけられることはないし。
少しくらいはわかりやすい行動を起こしているほうが、気になってくれるかも知れない。
「崎坂さんから見て、篠田さんは私のことどう思っている感じですか?」
「そうだなあ……。嫌ってるって印象には見えないから、全然脈ナシってことはないと思うよ」
「ホントですか?」
「うん。ま、恋愛感情があるかどうかは本人に聞いてみないとわかんないけど。それとなく聞けそうなら聞いてみるけど、あんまり期待しないで。私、そういうの苦手だから」
本当にあまり得意でないんだろう。崎坂さんが申し訳なさそうに言うので、とんでもない、と私は手を振った。
「こうやって篠田さんとご飯食べられるだけでもありがたいですから、私。気持ちを伝えるのはまだ難しいけど、自分で頑張ってみます」
私のガッツポーズに崎坂さんが微笑んで個室の襖を開けようとしたとき、有村さんの声が聞こえてきて、崎坂さんの手が止まった。
「なあ、篠田」
「ん?」
「お前さ、社内恋愛とかどう思ってる?」
「……何、お前何か悩んでんの? 崎坂と何かあったか?」
「いや、俺たちは順調だよ。まあ、欲を言えばもう少し芽衣が甘えてくれたらなあとは思うけど」
「ノロケかよ」
思わず横にいる崎坂さんに目を向けると、「有村のヤツ……」と小さく呟く声とは裏腹に、少しだけ頬を赤くした崎坂さんの顔があった。
「お前さ、しばらく彼女いないって聞いてたし、小春ちゃんとかどうかなって思ってるんだけど」
有村さんのど直球のストレートな質問に思わず声を上げそうになり、崎坂さんとふたり、目を丸くする。
だけどここで部屋に入ってしまっては、篠田さんの気持ちを知ることができない。
必死で存在を消して、篠田さんの答えを待つ。
しばらくの無音の後、篠田さんから発せられた言葉は、私の心臓をグサリと打ち抜いた。
「高原さんはただの後輩。そういう風に見たこともないし」
「でも小春ちゃん、いい子だよ。明るくて優しいし」
「……俺、職場で恋愛する気、ないから」
これ以上は限界だ。思わず座り込みそうになる私を崎坂さんが支えてくれる。
確かに頑張って私が話しかけない限り、篠田さんからは仕事以外のことで話しかけられることはないし。
少しくらいはわかりやすい行動を起こしているほうが、気になってくれるかも知れない。
「崎坂さんから見て、篠田さんは私のことどう思っている感じですか?」
「そうだなあ……。嫌ってるって印象には見えないから、全然脈ナシってことはないと思うよ」
「ホントですか?」
「うん。ま、恋愛感情があるかどうかは本人に聞いてみないとわかんないけど。それとなく聞けそうなら聞いてみるけど、あんまり期待しないで。私、そういうの苦手だから」
本当にあまり得意でないんだろう。崎坂さんが申し訳なさそうに言うので、とんでもない、と私は手を振った。
「こうやって篠田さんとご飯食べられるだけでもありがたいですから、私。気持ちを伝えるのはまだ難しいけど、自分で頑張ってみます」
私のガッツポーズに崎坂さんが微笑んで個室の襖を開けようとしたとき、有村さんの声が聞こえてきて、崎坂さんの手が止まった。
「なあ、篠田」
「ん?」
「お前さ、社内恋愛とかどう思ってる?」
「……何、お前何か悩んでんの? 崎坂と何かあったか?」
「いや、俺たちは順調だよ。まあ、欲を言えばもう少し芽衣が甘えてくれたらなあとは思うけど」
「ノロケかよ」
思わず横にいる崎坂さんに目を向けると、「有村のヤツ……」と小さく呟く声とは裏腹に、少しだけ頬を赤くした崎坂さんの顔があった。
「お前さ、しばらく彼女いないって聞いてたし、小春ちゃんとかどうかなって思ってるんだけど」
有村さんのど直球のストレートな質問に思わず声を上げそうになり、崎坂さんとふたり、目を丸くする。
だけどここで部屋に入ってしまっては、篠田さんの気持ちを知ることができない。
必死で存在を消して、篠田さんの答えを待つ。
しばらくの無音の後、篠田さんから発せられた言葉は、私の心臓をグサリと打ち抜いた。
「高原さんはただの後輩。そういう風に見たこともないし」
「でも小春ちゃん、いい子だよ。明るくて優しいし」
「……俺、職場で恋愛する気、ないから」
これ以上は限界だ。思わず座り込みそうになる私を崎坂さんが支えてくれる。