私と恋をはじめませんか
「でさ、同僚の人に誰か紹介してくれって頼まれてるんだって。だから、どうかなあって思って」
「どうかなあって、きょんちゃん。私今、そんな気分じゃないんだけど。きょんちゃんも知ってるでしょ?」
「でも小春は、相手の人に振り向いてもらえないかも知れない状態なんでしょ?」
それを言われてしまうと胸が痛い。思わず黙り込んでしまうと、兄さんが横で「なるほど」とつぶやいた。
「小春っち、もしかしたら沼から這い上がるきっかけが見つかるかも知れないぞ」
「ちょっと。兄さんまでそういうこと言う?」
「俺もきょんちゃんも、面白がって言ってるわけじゃないからな。他の人と話すことによって、今想ってる相手のことを考えるきっかけになると思ってるんだよ」
「そうよ。他の人と会ってもやっぱり今の人のことを想うようだったら、気持ちをぶつけたほうがいいだろうし、それがつらいんだったら、私は次の恋に走ってもいいと思ってるの」
ふたりの気持ちがうれしくて、胸の奥がジーンとしてくる。
「ありがとう、きょんちゃん。でも、どうするかはちょっとだけ考えてみてもいい?」
「もちろん」
きょんちゃんがニッコリ笑う。
すると、前からのんびりとした声がふってきた。
「ねぇ、きょんちゃん。小春ちゃんを誘う理由はわかったけど、私は?」
「ああ、結衣は、少しでも男の人に慣れたほうがいいかなって思って。あまり得意じゃないでしょ、男の人と話すの」
「うん」
「そ、そんなことしなくても、俺だって原だっているんだし、俺らで慣らせばいいじゃん。な?」
「確かに、松嶋くんと兄さんとは、普通に話せるようになってきたかな……」
「とにかく、三枝は行かなくていいから!」
バン、とテーブルを叩いて止める松嶋くんの迫力に、思わず四人で顔を見合わせる。
「ま、松嶋くんがそこまで言うなら、結衣は止めておこうか?」
「そ、そうだね。結衣ちゃん別に、今彼氏欲しいとかないんでしょ?」
私ときょんちゃんの問いかけに、結衣ちゃんはいつものようにキラキラとした天使のような笑顔を向けて、うなずいた。
「うん。彼氏とか、恋愛とか、今はあんまり考えてないかも」
「……え?」
「……松嶋、元気だせ」
「どうかなあって、きょんちゃん。私今、そんな気分じゃないんだけど。きょんちゃんも知ってるでしょ?」
「でも小春は、相手の人に振り向いてもらえないかも知れない状態なんでしょ?」
それを言われてしまうと胸が痛い。思わず黙り込んでしまうと、兄さんが横で「なるほど」とつぶやいた。
「小春っち、もしかしたら沼から這い上がるきっかけが見つかるかも知れないぞ」
「ちょっと。兄さんまでそういうこと言う?」
「俺もきょんちゃんも、面白がって言ってるわけじゃないからな。他の人と話すことによって、今想ってる相手のことを考えるきっかけになると思ってるんだよ」
「そうよ。他の人と会ってもやっぱり今の人のことを想うようだったら、気持ちをぶつけたほうがいいだろうし、それがつらいんだったら、私は次の恋に走ってもいいと思ってるの」
ふたりの気持ちがうれしくて、胸の奥がジーンとしてくる。
「ありがとう、きょんちゃん。でも、どうするかはちょっとだけ考えてみてもいい?」
「もちろん」
きょんちゃんがニッコリ笑う。
すると、前からのんびりとした声がふってきた。
「ねぇ、きょんちゃん。小春ちゃんを誘う理由はわかったけど、私は?」
「ああ、結衣は、少しでも男の人に慣れたほうがいいかなって思って。あまり得意じゃないでしょ、男の人と話すの」
「うん」
「そ、そんなことしなくても、俺だって原だっているんだし、俺らで慣らせばいいじゃん。な?」
「確かに、松嶋くんと兄さんとは、普通に話せるようになってきたかな……」
「とにかく、三枝は行かなくていいから!」
バン、とテーブルを叩いて止める松嶋くんの迫力に、思わず四人で顔を見合わせる。
「ま、松嶋くんがそこまで言うなら、結衣は止めておこうか?」
「そ、そうだね。結衣ちゃん別に、今彼氏欲しいとかないんでしょ?」
私ときょんちゃんの問いかけに、結衣ちゃんはいつものようにキラキラとした天使のような笑顔を向けて、うなずいた。
「うん。彼氏とか、恋愛とか、今はあんまり考えてないかも」
「……え?」
「……松嶋、元気だせ」