クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
「はい…まあ、なんとかやってるよ、いや、食わずに寝ちまったから」
十中八九、律己くんの件だろう。おばあちゃんの心配がここまで伝わってくるようだ。やっぱりこのお父さん、全然信頼されていないっぽい。大丈夫なのか。
「うーん、どっかに食いに行くかなとか。だって仕方ないだろ、できないもんはできないんだよ、食わせねーよりマシだろ」
息子と母親の会話って、いくつになってもこういう感じなのかしら。
お父さんがかったるそうに「はいはい」と相槌を打ち、長めの前髪をかき上げる。
「余計な心配してないで、早く治せよ、なんかあったら相談するからさ」
あの素敵なおばあさまも、息子の前ではただの母親らしい。がみがみした口調が携帯から漏れ聞こえてきて、私は笑った。
電話を終えると、彼は「すみません」と恥ずかしそうにした。
「もしかしてお父さん、お料理とかされないんですか」
「はあ、普段はひとりなもんで、まあ、適当に」
こりゃ、心配されて当然だ。
「園で、補食という軽い夕食を用意できます。本当は月初めに申し込んでいただかないといけないんですが、掛け合ってみますから」
「え」
事情が事情だ。材料の仕入れのため、いきなりの対応は不可とされているけれど、ひとり分くらいなんとかなるだろう。すぐに園長と栄養士さんに相談しよう。
「おばあちゃんが元気になられるまで、私たちもできる限りサポートしますから、お父さんも頑張ってください」
私の勢いに圧されたのか、「はあ」と彼がつぶやく。
しっかりしてよ!
思わずその腕を掴んだ。
「律己くんには今、お父さんしかいないんです。彼は複雑な子です。ほかの子みたいにしゃべりませんが、いろんなことを見て、考えています」
「あいつ、しゃべらないんですか」
今聞いた、という感じの反応に、脱力と怒りが押し寄せた。
なにを言っているのよ…。
十中八九、律己くんの件だろう。おばあちゃんの心配がここまで伝わってくるようだ。やっぱりこのお父さん、全然信頼されていないっぽい。大丈夫なのか。
「うーん、どっかに食いに行くかなとか。だって仕方ないだろ、できないもんはできないんだよ、食わせねーよりマシだろ」
息子と母親の会話って、いくつになってもこういう感じなのかしら。
お父さんがかったるそうに「はいはい」と相槌を打ち、長めの前髪をかき上げる。
「余計な心配してないで、早く治せよ、なんかあったら相談するからさ」
あの素敵なおばあさまも、息子の前ではただの母親らしい。がみがみした口調が携帯から漏れ聞こえてきて、私は笑った。
電話を終えると、彼は「すみません」と恥ずかしそうにした。
「もしかしてお父さん、お料理とかされないんですか」
「はあ、普段はひとりなもんで、まあ、適当に」
こりゃ、心配されて当然だ。
「園で、補食という軽い夕食を用意できます。本当は月初めに申し込んでいただかないといけないんですが、掛け合ってみますから」
「え」
事情が事情だ。材料の仕入れのため、いきなりの対応は不可とされているけれど、ひとり分くらいなんとかなるだろう。すぐに園長と栄養士さんに相談しよう。
「おばあちゃんが元気になられるまで、私たちもできる限りサポートしますから、お父さんも頑張ってください」
私の勢いに圧されたのか、「はあ」と彼がつぶやく。
しっかりしてよ!
思わずその腕を掴んだ。
「律己くんには今、お父さんしかいないんです。彼は複雑な子です。ほかの子みたいにしゃべりませんが、いろんなことを見て、考えています」
「あいつ、しゃべらないんですか」
今聞いた、という感じの反応に、脱力と怒りが押し寄せた。
なにを言っているのよ…。