クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
「どこ行きます?」
「そうですね、日差し強かったから、どこか入れるところ…」
駐車場の車の中は、温かいを通り越して暑くなっている。乗り込んでエンジンを入れると、有馬さんはすぐに窓を全開にした。
11月も目前のこの時期、夕方というにはまだ少しある時間なのに、もう日は西に傾いている。
有馬さんはハンドルに両手を乗せて、うーんと考え込んだ。
「なにか食うって感じでもないですしね」
「お腹はいっぱいです」
「そんなに時間も残ってないんだよな、6時前には出ないと…」
呟きながら腕時計を見ていた有馬さんの声が、ふと消えた。
私もはっとした。たぶんお互い、同時に気づいた。
ひとつの可能性。
車内が一瞬、しんと静まる。
ハンドル越しに前を見つめて、じっと考えていた有馬さんが、遠慮がちにこちらを見た。
「…いいですか」
おずおずと、半ば申し訳なさそうに提案された、それに。
私はやっぱり、ためらう理由ももう、なくて。
だけど彼のほうを見て言うことは、とてもできなくて。
「はい…」
視線をうろうろさせながら、たぶん赤くなって、答えた。
「そうですね、日差し強かったから、どこか入れるところ…」
駐車場の車の中は、温かいを通り越して暑くなっている。乗り込んでエンジンを入れると、有馬さんはすぐに窓を全開にした。
11月も目前のこの時期、夕方というにはまだ少しある時間なのに、もう日は西に傾いている。
有馬さんはハンドルに両手を乗せて、うーんと考え込んだ。
「なにか食うって感じでもないですしね」
「お腹はいっぱいです」
「そんなに時間も残ってないんだよな、6時前には出ないと…」
呟きながら腕時計を見ていた有馬さんの声が、ふと消えた。
私もはっとした。たぶんお互い、同時に気づいた。
ひとつの可能性。
車内が一瞬、しんと静まる。
ハンドル越しに前を見つめて、じっと考えていた有馬さんが、遠慮がちにこちらを見た。
「…いいですか」
おずおずと、半ば申し訳なさそうに提案された、それに。
私はやっぱり、ためらう理由ももう、なくて。
だけど彼のほうを見て言うことは、とてもできなくて。
「はい…」
視線をうろうろさせながら、たぶん赤くなって、答えた。