クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
「たぶん、これまであまり律己くんとかかわってこなかったみたいで、子供慣れしていないというか」
「じゃあ、本当におばあちゃんの家で暮らしてたんですね」
「それはちょっと、お父さんが無責任すぎる気も」
「でも、そうは言っても男の人に、いきなりひとりで子育ては難しいんだと思います。奥様を亡くしたショックも大きかっただろうし」
あれ、なんで私、あの人のフォローしているの。
みんなは「まあねえ」と納得したようで、しんみりうなずいている。
「とりあえず事情はわかりました。補食はなんとかします」
栄養士の田村(たむら)先生が、ふくよかな身体をどんと拳で叩いた。
「ありがとうございます!」
「いいってことです。子供たちの生活が最優先」
にっと笑う彼女は、園長に次ぐ年齢で、小学生の子供ふたりを育て中の、見た目からして肝っ玉母さんだ。
園児たちは毎日、彼女の作りたての食事を食べている。それがどんなに幸せなことか、いつか気づいてくれるといい。
「心配だなあ、朝ごはん、抜いて来る日も増えるかもね」
「今朝の様子はどうでした?」
ちょうど今日は石埜先生が早番だった。手元の記録簿を見ながら教えてくれる。
「時間通りに登園してきましたよ、お父さん、だいぶ眠そうで、でも忘れ物もありませんでしたし、衣服も持ち物もきれいでした」
ああ、よかった。
「お仕事、なにをされているんですかね?」
「さあ…」
そもそも、されているんですかね?
本部には所得証明が提出されているはずなので、調べればわかるだろうけれど、そこまでするほどのことでもない。子供たちが健やかに、元気にいてくれればいいのだ。
さあ、そろそろ園児をお昼寝から起こす時間だ。
これから降園が片づく時間までは、また目の回る忙しさ。
つかの間の大人同士の時間を惜しみつつ、私たちは腰を上げた。
「じゃあ、本当におばあちゃんの家で暮らしてたんですね」
「それはちょっと、お父さんが無責任すぎる気も」
「でも、そうは言っても男の人に、いきなりひとりで子育ては難しいんだと思います。奥様を亡くしたショックも大きかっただろうし」
あれ、なんで私、あの人のフォローしているの。
みんなは「まあねえ」と納得したようで、しんみりうなずいている。
「とりあえず事情はわかりました。補食はなんとかします」
栄養士の田村(たむら)先生が、ふくよかな身体をどんと拳で叩いた。
「ありがとうございます!」
「いいってことです。子供たちの生活が最優先」
にっと笑う彼女は、園長に次ぐ年齢で、小学生の子供ふたりを育て中の、見た目からして肝っ玉母さんだ。
園児たちは毎日、彼女の作りたての食事を食べている。それがどんなに幸せなことか、いつか気づいてくれるといい。
「心配だなあ、朝ごはん、抜いて来る日も増えるかもね」
「今朝の様子はどうでした?」
ちょうど今日は石埜先生が早番だった。手元の記録簿を見ながら教えてくれる。
「時間通りに登園してきましたよ、お父さん、だいぶ眠そうで、でも忘れ物もありませんでしたし、衣服も持ち物もきれいでした」
ああ、よかった。
「お仕事、なにをされているんですかね?」
「さあ…」
そもそも、されているんですかね?
本部には所得証明が提出されているはずなので、調べればわかるだろうけれど、そこまでするほどのことでもない。子供たちが健やかに、元気にいてくれればいいのだ。
さあ、そろそろ園児をお昼寝から起こす時間だ。
これから降園が片づく時間までは、また目の回る忙しさ。
つかの間の大人同士の時間を惜しみつつ、私たちは腰を上げた。