クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
「エリカ先生、なんかそわそわしてません?」
「えっ、そう?」
公園に行く準備をしていると、原本先生がこちらを指差してきた。
まずい、そんなに様子が変なんだろうか、私。
実際落ち着かない気分ではある。律己くんの熱は上がっていないかな、お腹に優しいご飯をあげられているかな、仕事を休むはめになって苛立っていないかな…。
気にし始めたらきりがない。
「トイレなら、どうぞ、ここは私が見てますから」
「違います」
催してそわそわって、子供じゃないんだから。
私はエプロンの前ポケットに手を入れ、私物の携帯が入っていることを確認して、行くよーと子供たちに声をかけた。
「あれっ」
「あ」
子供の足で十分ほどの公園に行ったら、思いがけない顔に出会った。
「うわあ、有馬さんじゃないですかあ」
先に声を上げたのは原本先生だ。
ベンチで新聞片手に暇そうにしていた有馬さんが、わらわらとやってきた私たちに、びっくりしたように顔を上げ、会釈をした。
鉄棒で遊んでいた律己くんは、嬉しそうにこちらに手を振った。
有馬さんが律己くんと私たちを見比べる。
「そうか、だから律己がここ来たがったんですね」
「律己くん、この公園好きなんですよ。今日も楽しみにしてたんだと思います。具合は大丈夫そうですか?」
「たぶん。あ、もしかして熱あるのにこんなとこ連れてきたら、まずいですか」
私は砂場のビニールシートを外しながら笑った。
「大丈夫ですよ、本人も元気そうですし、ちゃんと様子を見ていてあげれば」
「そうですか、よかった」