クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
えっ。

私は園長が持っていた申込用紙を覗いた。

今月の土曜日全部に申し込みがしてある。時間は七時半〜二十時。保育園の開園時間、めいっぱいだ。

園長が気遣わしげな声を出す。


「おそらく来月もこうなるだろうと。お忙しいみたいね」

「週六で、十二時間半の保育ですか…」


園での活動を嫌がったことのない律己くんとはいえ、ストレスがかかりすぎはしないだろうか。

私は朝見た有馬さんの様子も気になっていた。最近ようやく見えてきていた余裕が消え去って、ピリピリしていた。そこにこの土曜保育の申し込み。

なんだかやけになっているような、苛立ちのぶつけ先を探しているような、そんな気がしてならない。

なにがあったんだろう。




その日、私は中番で、有馬さんの迎えのタイミングより早く帰ってしまうため、会えないことがわかっていた。

朝は通勤途中だから引き留められない。

なるべく早く会って話がしたい。

担任として、園に呼び出すこともできるけど、そんな大ごとにはしたくない。

どうしよう。




「あっ、有馬さん!」


スーパーに入ってきたところに声をかけたら、突然すぎたらしくて「わっ」とびっくりされてしまった。


「どうも。先生も今買い物ですか」

「いえ、実はお会いできるかなと思って待ってたんです」

「え」

「お時間ありますか?」
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