幸せ日和

新しい入居者の孫娘の夫は、戸田(とだ) 由文。
日和の元カレで、日和が妊娠した時、逆上し、日和を殺そうとした男だ。


「ひよちゃん、どした！？」

日和の様子が、おかしい事に気付いた未来は、日和を支え、事務所に連れて行った。

「大丈夫か？」

未来が心配そうに、日和の顔を覗き込む。

「…大丈夫です、すみませんでした」

「とても大丈夫そうに見えないよ。
顔色も悪いし、今日は帰ったら？」

「本当に大丈夫ですから！」

日和が答えたと同時に、

「あの～…」

女性の声が聞こえ、声がした方向を見ると、奈々と由文と、小さな女の子がいた。

「祖母をよろしくお願いします」

奈々が頭を下げると、

「お願いしまちゅ」

女の子は、奈々の真似をする。
その子はどことなく由文に似ていて、女の子が由文の子どもだとわかった。