幸せ日和
その足で、真っ直ぐ日和の家に向かう。
平日で、家族皆が仕事に出ているうちに、荷物を詰めて、運びだそうと思ったが、

「日和、どこに行ってたの!?」

「そうだよ~、心配したんだから」

家には、母親と小春がいた。

日和は何も答えず、部屋に入ると、必要最小限の物をボストンバッグとキャリーケースに詰めた。

「今度はどこに行くの!?」

ヒステリックに問い詰める母親に、

「お母さんはこの6年、まるで腫れ物を扱うように、わたしに接してたよね?
わたし、お母さんが好きだったから、そんな風に接してほしくなかった…!」

日和は泣きながら、母親に言う。

「この6年…って何があったの?」

何も知らない小春は呑気に母親を見る。
口ごもる母親の代わりに、

「高校1年生の夏、中絶したの…」

日和が答えた。
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