幸せ日和
瞬が電車のおもちゃで遊ぶのを、優しく、未来と咲が見守っている。
それがまるで夫婦のようで、日和はヤキモチを妬いた。

「あ、おねいちゃん!」

瞬が日和に気付き、

「おねいちゃんも遊ぼ」

無邪気に笑う。

「…うん、いいよ」

子どもは嫌いなはずなのに、瞬を見ていたら、遊んであげてもいいような気がした。

「ひよちゃん、無理しなくてもいいよ」

「そうそう、わたしら、今からスペイン村行くし」

咲が、自身の髪の毛を指先でクルクル回しながら言う。

「スペイン村!?
一緒やん!」

普段、標準語で話すから、方言で話す未来に、違和感を覚える。

「え、そうなん?
ほんなら一緒に行く?
(訳:え、そうなの?
それなら一緒に行く?)」

未来はまた、日和を見て、

「いや、やめ」

断ろうとしたが、

「行く!行きます!」

日和が即答した。
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