幸せ日和

職場に行くと、施設長と、日和と同じくらいの男の子と一緒にいて、皆に集まるように声を掛ける。

「え～…今日から働く事になった、看護師の長谷川 友紀さん。
長谷川君、こちら、看護師の入江(いりえ) 日和さん。
入江さん、長谷川君を指導してあげてね」

…嫌な予感が的中した。

施設長は皆に、友紀を紹介すると、事務所に戻ってしまった。

「入江 日和…」

皆がいなくなると、友紀は、日和の名前を口にして、まるで、何かを思い出すかのように、遠くを見た。

「南区に住んでた…？」

「あ、はい」

「…ヨリ！？
お前、あの、泣き虫のヨリか！？」

「え、ああ、そう」

日和は戸惑いながらも、頷く。

「マジか！
すっげえ偶然だな～！」

親しげに、日和に話し掛ける友紀を見て、優花(ゆうか)はニヤリと笑った…。