あたしのヒーロー*犬とあたしの物語*
「ラン!ラン!!!」
叫ぶ
叫ぶ
警察がくる
ランがつれていかれる
「まって!あたしの犬だ!!!返して・・・
ランをもう、どこへもやらないで!!!!」
伸ばす手
ランのオレンジの毛にふれる
「・・・・・・・ラン・・・・・ッ!!!」
ランは、6歳で死んだ
しかも、理不尽な死だった
あたしがあのとき、叫ばなきゃ
あたしがあのとき、離さなきゃ
こんなこと、起きなかったかもしれないのに
「・・・・・―ラン・・・・」
小さな命で精一杯あたしを励ましてくれた
カバンを口にくわえて部屋に来てくれた
泣いているときずっと傍にいてくれた
ずっと、一緒だったのに――・・・・・・・・
ランは
死んだ