君が見せてくれた、私の世界
「痛っ…。」



運悪く、倒れ込んで手のついた場所がティーカップの破片があるところで。


切れた手から、血が出てくる。



「ど、どうしよう…。」



ポタポタと血が、水たまりをフローリングに作ろうとしている。


…なんにも出来ない…。



「……っ…。」



倒れた車椅子を起こすことすら、私には出来ない。


助けて……。



「助けて……冷泉くん…。」



頭に浮かんだのは、冷泉くんの顔。


気がつくと…私は、ポケットに入っていた携帯の通話ボタンを押していた。




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