君が見せてくれた、私の世界
「なになに〜?
何の話してんの?」


「宇都宮!」


「ん?どうしたの?
…想世架、次視聴覚室移動だから行こ。」


「あ、うん…。」



縁寿が車椅子を押してくれて、隣に紗綾が来てくれて。


膝に乗せた教科書と筆箱が落ちないように注意しながら、エレベーターに乗って移動した。



「ねぇ、さっき何話してたの?」


「春日井くんが、今度一緒に出かけようって…。
でも、また水族館の時みたいになったら嫌だから…返事できてなくて…。」


「ふうん。
春日井くん、想世架のこと気になってるって本当なのかもね。」


「え、でも。
それだったら、想世架を狙ってる男子多くない?」


「うーん…。
でも、春日井くんは本気みたいよ。」



狙ってる…?本気…?


そんな話をしてると、いつの間にか視聴覚室に着いていて。


廊下側に既に座ってる、冷泉くんと目が合った。



「……あ…。」



久しぶりに、目を見た気がする…。


目で追うことはあっても、目が合うなんて…今までなかったから。




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