君が見せてくれた、私の世界
「想世架、そこ座ろ?」


「うん…。」



視聴覚室の時は、自由席だから。


紗綾が座ろうと言ったのは、冷泉くんの斜め後ろ。


…こんなに近くにいるの、久しぶり…。



「想世架……。」


「うん?」


「ううん、なんでもないよ。」



縁寿は何が言いたかったんだろう…?


縁寿が言いかけた時、先生が入ってきて話すのを途中でやめた。




ーー「想世架。」



「……!」



授業の終わりのチャイムが鳴って、教室を出ようとすると。


冷泉くんに…声をかけられた。



「れ、冷泉くん…?」


「私達、先戻ってるね。
荷物だけ持ってくよ。」


「あ、ありがとう…。」



縁寿に荷物を渡して、誰もいなくなった視聴覚室で冷泉くんと対面する。




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