君が見せてくれた、私の世界
朝ごはんを済ませて、私は自分の部屋に戻ると…パパからもらった服に着替えた。



「可愛い…。」



開け放たれた窓から入ってくる風で、ふわふわと揺れるワンピース。


レースとフリルが可愛くて、胸元の大きなリボンは人目を引く。



「…ふふっ…。」



日焼けが身体に良くないって理由と、点滴やら注射やらで跡が残ってる恥ずかしい腕を隠せるように。


似たようなデザインのカーディガンを合わせたら、ばっちり。



「……。」



このワンピースで、くるんって回ったら…どうなるのかな。


パパが用意してくれた、アンティーク調の全身鏡…姿見の前に佇むと。


……私は、そっと車椅子から足を地面につけた。



「……くっ…。」



腕がぷるぷると震えて、背中には汗が滲む。


…歩きたい…。


ふと、頭に浮かんだのは…あの公園で会った、杏さん。





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