君が見せてくれた、私の世界
このワンピースを着て、あの人みたいに…歩いてみたい。


可愛いサンダルを履いて、歩きたい。



「……あっ…くっ……。」



車椅子に全体重をかけて、足をなんとか安定させようとする。


…でも、地面を歩くことを知らない私の足は…上手く動かない。


力が入らなくて、身体が支えられない。


今、車椅子から腕を離したら転ぶ。



「……なんでっ…。」



どうして、立てないの…?


リハビリをした時は、歩けなくても…1人で立てるまでには回復してた。


リハビリを辞めたから…?



「…っ…。」



手を離すのが、怖い。


手を離したら…転ぶに決まってる。



「……でも…。」



でも、もしかしたら…。


もしかしたら…立てるかもしれない。



「……はっ…くっ…。」



淡い期待を抱いて、手を離すと。


……期待は、無残にも打ち砕かれた。





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