君が見せてくれた、私の世界
「想世架ちゃん。」


「九条先生…!」


「君が1人で来てる、って看護師から聞いてびっくりしたよ。
…どうしたのかな?」



九条先生は、穏やかな顔をして私と対面した。


それが私に緊張を呼び起こして、ぎゅっと膝掛けを握りしめる。


ふぅ…と気持ちを落ち着けるために、看護師さんがくれたお茶を1口飲むと。


私は、ゆっくりと口を開いた。



「…私の足は、もう歩くことは出来ませんか。」


「……。」


「私の足は、もう1人で立つことは出来ませんか?
リハビリを…することは出来ますか?」


「…なにか、気持ちに変化が出たんだね。」


「…はい。」



人の目を見て話すのが苦手だけど、私は真っ直ぐに九条先生を見つめた。


私の気持ちが伝わってほしい。


分かってほしい。




< 134 / 312 >

この作品をシェア

pagetop