君が見せてくれた、私の世界
────私は、夢を見ていた。


夢の中のわたしは、まだ小学生くらいで…元気に走り回っていて。


ひらひらと、淡いピンク色のワンピースを翻して…笑っていた。



「──あははっ!!待ってー!!!」



友達と追いかけっこをしてるのか、同い年くらいの子達に囲まれながら走ってる。


……現実の私がしたかったこと。



「…あんなふうに……。」



走り回る自分の足に夢中の私。


わたしの足なのに…私が夢中で見つめてる。


私の視線に気がついたわたしは、ちらっとこっちを見て…駆け寄ってくる。



「──おねーちゃんは、歩けないの?」


「……。」



無邪気に笑っていた顔から一転して、私を心配そうに見つめてくる。


夢の中の私は、現実の私と同じで…何も言わない。



「──わたしはね!
こんなふうに風をきって走るのがすき!
おねーちゃんもいつか!走れるようになるよ!」



そう言うと、また笑って…走り出した。




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