君が見せてくれた、私の世界
「────迎えに来た。」


「……ふっ…うぅっ…。
…冷泉、くんっ…。」



夢の中の冷泉くんは、すらっとした長い腕を伸ばして、私を抱き上げると…にっこり微笑んだ。


優しく細められたその瞳には、泣きながらも嬉しそうに笑ってる私がいて。


そっと頬を触れると、その手の上に冷泉くんの大きな手が重ねられた。



「────帰ろうか。」


「……うん…。」



冷泉くんは、光の道を歩き始めた。


きっと…その先には、綺麗な景色が待っているんだろう。


そう私は予感した。




────そこで、目が覚めた。



「ゆ、め……。」



ハッと起き上がって、顔に手を当てると…目元が濡れていた。


もしかして…と枕をみると、枕だけじゃなくて顔の周りの布団も濡れて…本当に泣いていたんだ、と実感した。




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