君が見せてくれた、私の世界
「…!美味しい!!」


「ほんと!?よかったわぁ…!」



久しぶりに食べるママの手料理は。


すごく温かくて…涙が出るくらい美味しかった。


中華料理のお教室にまで通い始めたらしくて…前に比べて、格段と美味しくなっていた。



「元々美味しかったのに…さらに美味しくなってる…。」



なんで、こんなに美味しいんだろう…。


ママお手製のコロッケも、サラダも。


デザートのプリンまで…美味しい。



………いつまで、これを食べて過ごせるんだろう。



「そよ?
手が止まってるわよ。…お腹いっぱいになったら、残していいんだからね。」


「そうだ。
無理して食べることない。
食べたいものを食べられるだけ食べなさい。」


「…うん!」



いつまで…ママとパパと、こうやって食卓を囲むことができるの?


いつもは考えないようなことばかり、頭によぎってきて…思わず首を振ってかき消した。



良くなってきたんだから、外泊許可だってもらえた。


もう少し頑張ったら…きっと、退院出来る。






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