君が見せてくれた、私の世界
ーー「一翔。
それ以上、想世架に触んな。」


「おーこわ。
千暁ってそんなに嫉妬深かったか?」


「うるせぇ。
…想世架、おはよう。」



後ろから歩いてきた冷泉くんは、不機嫌そうな声をしていたと思ったら、にこにこと笑顔を見せてくれた。



「お、おはよう…!」


「場所とってあるから、早く行こう。」



冷泉くんのその声で、私達は歩き出した。


さっきまで紗綾が押してくれていた車椅子は、冷泉くんが押してくれて。


しきりに色々話しかけてくれる。



「でも、元気そうで良かったよ。
俺、想世架ちゃんと話したことほとんどなかったから。」


「……あ…うん…。」


「ちょっと、一翔。
想世架が緊張しちゃってるじゃん。」


「あ、ごめんね?」


「だ、大丈夫…。」



全然、大丈夫じゃない…。


話したことないし、怖いし…。


うう……帰りたくなってきた。







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