君が見せてくれた、私の世界
「想世架。」


「……千暁…。」



今度は、すんなりと口から出た。


冷泉くん…もとい、千暁の頬を両手で包むとまた笑ってくれる。



染めてるのに、傷んでないさらさらした髪が手にかかってくすぐったい。


それでも、千暁に触れていたいから。


おでこをつけたら…あったかくて、また一緒に笑った。


…あの病室でも、同じことをしたことがあった気がする。



「────綺麗だな。」


「うん…。」



いつまで、そうしていたんだろう。


気がつくと…辺りは、赤く染め上がり始めていた。



「一翔たち、先に帰ったらしいから。
俺らだけでゆっくりしていよう。」


「……うん。」



千暁の目線から見る、景色。


私が見ている車椅子からの景色よりも、全然高くて…綺麗。






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