君が見せてくれた、私の世界
死と隣り合わせの生活は、小さい頃から慣れてるはずなのに。


何故か今、焦ってる。


いつ死ぬか分からない恐怖心が大きくて、我を失いそうにすら、なる。


慣れっこなはずなのに。



「想世架…!」



いやだ、死にたくない。


この人を置いて逝くなんていやだ。


ずっと一緒にいたい。


隣で…笑って、泣いて、毎日楽しく過ごしていきたい。



もう元気な身体なんて、求めない。


この身体のままでいいから。


だから…生きさせて。



「想世架!!」


「……っあ……!」



肩を揺さぶられて、失いかけていた自我が戻ってくる。


……死に、追い越されそうだった。



「どうした?大丈夫か?」



真っ直ぐ私を見つめてくる千暁。


その瞳には、涙で顔をぐちゃぐちゃにした私が映っていた。





< 190 / 312 >

この作品をシェア

pagetop