君が見せてくれた、私の世界
「……落ち着いたか?」


「うん…。」


「少し、寒いな。」



紅葉の大木に身体を寄りかけて、千暁と夜空を眺める。


持ってきていた大きめのブランケットに包まれながら、私は千暁の腕の中にいた。



「想世架は…あったかいな。」


「ほんと…?」


「あぁ。
お前の温かさは心地いい。」


「…私も。」



千暁の腕の中が1番落ち着くよ。


温かくて…なんだかほっとして、眠くなってきちゃう。



「あ、見て…。満月だよ。」



空いている手で、空を指さす。


暗い夜空に一際輝く、黄色い丸い月。



「本当だ。…綺麗だな。」


「…綺麗だねぇ…。」



止まってしまえばいい。


時間なんて、このまま止まってしまえ。


千暁といると、そんなことばかり考えてしまって。


少しだけ…悲しくなった。







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