君が見せてくれた、私の世界
楽しい時間こそ、あっという間で。



「それじゃあ…。
先生、想世架のことよろしくお願い致します。」


「はい。
想世架ちゃん、また頑張ろうね。」


「……はい。」



ベッドの上から、帰っていくママをただ見つめることしか出来ない。


行かないで、帰らないで、って呼び止められない。


……早く、退院したい。


外泊許可なんてもらったせいで、外へ行きたい気持ちが強くなった気がする。



「楽しい思い出はできた?」


「…はい。」


「気分転換になったのなら良かったよ。
また、行けるようになろうね。」


「……はい。」



淡々と、先生の質問に答えていたら。


いつの間にか、先生はいなくなっていた。



「……っ…。」



涙が頬を伝うのが分かる。


寂しいから?悲しいから?辛い治療にもう耐えられないから?


…答えは、全部。


大好きな人の傍にいられない。


どんなに声を張り上げても、あの人には届かない。


今、ここで寂しい、って。


冷泉くんの傍にいたいよ、って言っても…あの人には伝わらない。





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