君が見せてくれた、私の世界
「想世架ちゃん、それ借りるの?」


「あ、うん…。」


「じゃあ、良かったらこれから一緒に中庭でお散歩とかどうかな。
今日、秋晴れだからあったかいよ。」


「い、行きたい…!」


「それじゃあ、決まりだね。
…車椅子押してあげたいんだけど…俺、したことないんだよね…。
大丈夫かな…?怖かったら、言ってね?」


「あ、ありがとう…。
でも思ってるよりも簡単だから…。」



私がそう言っても。
直央…くんは、少しおどおどしながら私の車椅子を押していた。
大丈夫なのになぁ……。
私が転んでも壊れなかったし、段差にだって意外に強いのに。



直央くんと一緒に、少しだけ本を探してから私達は中庭へ向かった。


移動してる間にも、色々な話をした。
直央くんは、病気で数日前からここに入院してること。
同年代の子がいるなんて全然知らなかった…と思ったけど、男女で入院病棟が別々だから、知らなくて当然だ。
看護師さんも教えてくれたら良かったのに…とちょっとだけ文句。

それから、直央くんは読書家なこと。
病院の図書館に暇があると通い詰めているんだって。
学校に通っていた時は、図書委員をするくらいの本好きみたい。



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