君が見せてくれた、私の世界
最初は慣れなかった男性病棟。
今では、少しだけだけど慣れた。
それでもやっぱり、少しだけドキドキしながら…長い廊下を進んでいく。


直央くんの病室の前で深呼吸をしてから、軽く扉をノックした。
はーい、と中から声がしたのを確認してからそっと入った。



「そよちゃん…!?」


「きゅ、急に来てごめんなさい…。」



びっくりした顔の直央くん。
急に来たから、驚かせちゃったよね…。
それでも、快く招き入れてくれた。



「嬉しかった、そよちゃんから来てくれて。」


「そんな、こと…。」


「ううん、嬉しかったよ。」



前に比べて、痩せたように見える。
やっぱり体調悪いんだ…。
どうしよう、早く帰った方がいいかな。
体調悪い時にあんまり話されると、聞いてるだけでも辛いんだよね…。



「そよちゃん…元気ない?」


「あ、ううん…そんなこと、ないの…。
ただ直央くんの迷惑になってたらって…。」


「あははっ…。
大丈夫だよ。
確かに、前に比べたら元気じゃないけど今でも充分元気だから。
心配してくれてありがとうね。」



そう笑っていても、辛そうだよ…。
辛そうに見えちゃうよ…。



< 219 / 312 >

この作品をシェア

pagetop