君が見せてくれた、私の世界

君からみた私

病室に帰ってきて、虚無な時間を過ごす。
どれくらい経ったのか分からない。

夕飯も気がついたら、片されていた。
外だってお月様が霞み始めてる。
星が、綺麗に瞬いてる。

ベッドから降りて、車椅子に乗ると…そのまま窓を開けて空を眺めて。
空に、話しかけた。



「……どれが、直央くんかな。
貴方は優しい人だから…きっと、優しく瞬いてるんだね…。」



直央くん。
目を瞑ると、脳裏には直央くんの微笑みがすぐに思い浮かぶ。

そよちゃん、と優しく語りかけてくれる。
冗談を言ったりして笑わせてくれたり…私の悩みに本気で相談に乗ってくれる。



「……っ…ふっ…うぅっ……。」



あれだけ泣いたのに、私の涙は枯れない。
声だって泣きすぎて枯れてるのに、涙だけは溢れ続ける。



「……そうだ。」



あの時に、もらった紙…見てみよう。


もらってからポケットに入れていた紙を、ゆっくりと…大切に開いた。



「……わぁぁあ…。」



そこには、お花に囲まれて笑ってる女の子。
ワンピースを着て、お花畑の中に座っている。

上の方には、そよちゃんへと綺麗で繊細な字で書かれていた。



「これが…私……。」



直央くんの目には、きっと私がこう映っていたんだね。
無邪気に笑ってる……。

余白には、ワンピースと長い黒髪を靡かせながら帽子を持っている子も描かれている。

カラーはついていない、白黒だけども…それがまた際立たせていて言葉にならないくらい上手な絵。


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