君が見せてくれた、私の世界
「……なんだったの…?」



ガバッと、起き上がって頬に触れる。
抓ったら…痛い。
今は夢じゃないってことだよね……?



「……あ……!」



私、今……起き上がってる…?
最近は、ベッドから自力で起き上がることだって辛かったのに…!

なんで、どういうこと…!?
良くなったの…?
こんなに急に…良くなるの?


自分の身体が信用出来なくて、ぺたぺたと至る所に触れる。



「……えぇー…?」



口からご飯が食べられなくて、前よりも痩せこけた身体。
骨が浮き上がってて、自分の身体だけど目を背けたくなるくらい気持ちが悪い。

腕だって、げっそりと細くなってしまったのに…傷痕だけはたくさん残ってる。

身体は、間違いなく私の身体。



「…誰かと入れ替わったわけじゃない…。」



なんで、こんなに元気なんだろう。
口だってちゃんと回るから、しっかりと話せてる。

頭だってくらくらしないし、いつもの気持ち悪さもない。



「…まさか…!」



バッと、枕を掴みあげる。
そこには、微かに雫の跡がある。
…私が泣いてたのは、夢じゃない……?

おでこに触れると、ほんのりと…あの唇の感触が残ってる。



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