君が見せてくれた、私の世界
夢…?
それとも、本当に……?


なんて、ひとり悶々と考えていたら…ママが顔を見せた。



「……!?そよ…!?」


「あ、お、おはよう……?」



カバンを落とすくらい、驚いたママ。
それはそうだろうなぁ…。

つい昨日まで、声をかけてもほとんど反応がなかった娘が今はベッドの上で本読んでるんだもん。
私だったら、お化けでも見た気分になるよ。



「身体はっ…!?
大丈夫なの!?おかしくないの!?」


「ん、うん…。
なんか…良くなっちゃった…?」


「うそ……。
もう、ダメかと思ったのにっ……。
そよっ……そよ……。」



泣きながら、私の手を取るママ。
沢山心配かけて、ごめんね。
もう…大丈夫だから。


あと、しばらくは……平気だから。



「先生呼ばなくちゃねっ…!」


「そうだね。」



泣きながら、ナースコールを押すママ。
手元にあったストールをそっと、ママの肩にかけた。


ママの肩…こんなに小さかったっけ…。
こんなに弱々しかった…?



「想世架ちゃん!!」


「……あ、おはようございます…。」


「た、体調は…?」



駆けつけてきてくれた九条先生。
すっごく驚いた顔してる。
…先生のこんな顔、初めて見た。



「なんか…良くなっちゃいました。」


「と、とりあえず検査をしてみよう。
良くなるのはいいことだから…。」



ママや先生たちも驚いてるけど。
一番驚いてるのは、私なんだよ。

こんなに元気になれるなんて思わなかったんだから。



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