君が見せてくれた、私の世界
「ぼ、僕も初めてですよ…。
数値がほとんど、正常値に戻っている…。」



様々な検査の結果。
先生も驚くくらい、私の身体は正常になっていた。


……多分、これは。
直央くんがくれた…私の最後の時間なのかもしれない。


なんとなく、でもほぼ直感的に。
分かってしまった。



「このままいけば、退院も出来ると思いますよ。」


「ほんとですか…!?
良かったわね!そよ!」


「……そう、だね…。
うん、退院できたら…いいなぁ…!」



残された時間。
間違いない、これは…私の最後。


この時間に、しなくちゃいけないことが沢山あるんだ。
直央くんがくれた…時間。



「そよ?どうしたの?」


「ううん、なんでもない。」



いつの間にか先生はいなくて、心配そうにママが私を見ている。
それでも、どこかしら嬉しそう。



「パパに連絡してこなくちゃ!
そよが元気になったわって!」


「うん。」



私の病室で電話やパソコン等の使用は大丈夫だけど、ママはいつも使用できるエントランスまで行く。





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