君が見せてくれた、私の世界
「想世架。」


「ん…?」


「次ここに来る時は、お前の大好きな桜見る時だな。」


「……そうだね。」



このままいけば、きっと桜だって見れる。
来年も…また、紅葉狩りに行ける。

このまま時が止まれば、私は千暁の前で元気な女の子でいられる。



でも、そんなの。
無理だってこと……知ってるの。

ちゃんと、分かってるから大丈夫だよ。
身の程はわきまえてるつもりだもん。



「桜は、どんなふうなのかなぁ…。」


「綺麗だぞ。
ここの、桜は…本当に綺麗だ。」


「そうなんだ…。」


「あぁ。
お前みたいに、綺麗だよ。」


「やだなぁ…私、全然きれいじゃないよ。」



汚いよ。
身体中、傷だらけだもん。


心臓の近くにだって、手術の痕がある。

お腹にチューブを入れてる時期だってあったから、その傷跡も残ってる。


たくさん、たくさん…傷がある。



「綺麗だよ。」


「……っ、そんなこと、ないってば…!」



車椅子を押す手を止め、私の前でしゃがみ込むと微笑む千暁。


ほら、千暁のその顔の方がよっぽど…きれいだよ。






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