君が見せてくれた、私の世界

花は枯れるもの

ふたりで、雪を見て。
かれこれ……2ヶ月が経った。



「……そよ。
桜が、咲いたわよ…。」


「……。」



窓の外から、見える桜。
大木に咲く桜は、私の病室にまで桜の花びらを届けてくれる。


春の訪れを、感じさせてくれる。
ずっと…見たかった桜。



「日本の桜は、こんなふうに綺麗なのよ…。」



きれい、な…桜。

千暁が、私に似てる、って…言ってくれた。



ママが私の手のひらに桜の花びらを乗せる。


ふわふわしてて、さらさらしていて。
いい香りがする。



「立派に、咲いたね……。」


「……。」



桜、きれい…。


早く、千暁にも見せたいなぁ……。



「冷泉くん、今日は大学の入学式なんですって…。
桜の中で入学式なんて、素敵ねぇ…。」


「……すて、き……。」



千暁は…入学式。
式が終わってから、来てくれる…かなぁ…。



そんなことを思った時、ノックと共にガラッ…と病室のドアが開いた。


一瞬、千暁が来てくれたのかと思ったけれど…入ってきたのは、九条先生。

ママを連れて、またすぐに出ていった。




< 263 / 312 >

この作品をシェア

pagetop