君が見せてくれた、私の世界
「明日、おうちに帰りましょうね。
…あなたも賛成、よね…?」


「あぁ…。
もちろんいいよ。
じゃあ、明日車で迎えに来るね。」


「お願いするわ。
…良かったわねぇ、そよ…。」



微笑みながら、私の頭を撫でるママ。


うん、良かったよ。
これで…少しは自由になれる。


身体は、ついてこれないけれど…私は、自由になれたんだ。



「…う、……れし…。」


「嬉しいね。
ふふっ、そよが笑ってる…。」



私が微笑めば、ママは嬉しそうに目を細めてまた笑った。


ママ、ごめんね……。


辛い思い、たくさんさせちゃったね。
ママがこんな風に、力なく微笑むのはもう…見飽きちゃったよ。

ちゃんと、微笑んで
ママには、たくさん笑ってほしい。



私ね、ママの笑った顔大好きなの。
いっぱい絵を描けばママが嬉しそうに笑ってくれるから、たくさん描いたよ。

賞を取れると、誇らしげに私の頭を撫でてくれるから…それが嬉しかったから。
私、頑張ったよ。



ごめんね、ママ。

私、もう…頑張れなくなっちゃったよ。



< 266 / 312 >

この作品をシェア

pagetop