君が見せてくれた、私の世界
「愛してる。」



その言葉と共に、想世架の唇にキスを落とす。


その瞬間、強い風が吹いて…桜の花びらが舞い上がった。


桜に包まれる俺たち。



「……ぅ…れ………し……ぃ…。」



唇を離すと、その言葉共に想世架は…俺が好きな、あの笑顔を見せた。


次第に想世架の身体から力が抜けて。
するり…と、想世架の腕が落ちそうになるのを慌てて止める。



「……幸せそうな顔しやがって。」



想世架の顔は、穏やかでこの世の苦しみなんか知らないような顔をしていて。


眠りについたんじゃないか、と俺に思わせるほど…綺麗な顔だ。



「……っ……。」



まだ温かみのある頬に触れる。
けれど、どんどん…冷たくなっていく。



ぽたり、ぽたり。
想世架の頬に…俺が降らす雨粒が落ちる。



「……っ、…くそっ……。」



嗚咽をもらしながら、想世架をきつく抱きしめるけれど。
想世架からは、腕を回してくれない。


いつもなら、恥ずかしそうに…でも嬉しそうに、回してくれるだろ。
今日もそうしてくれよ…。

なんで……お前だったんだよ。





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