君が見せてくれた、私の世界
お前が見せてくれた、俺の世界
想世架が、この世を去って…かれこれ3ヶ月が過ぎた。


あいつが好きだった桜は散って…青々とした緑の木々が生き生きと茂っていて。
雲ひとつない青空に、さんさんと太陽が上がってるせいで…正直、暑い。



「お前は夏、苦手だったもんなぁ…。」



気がつくと、あいつのことが頭に浮かんでくる。
いつも夏バテして辛そうな顔をしながらも、笑っていたこと。
もちろん、忘れたことなんてない。


想世架の通夜も、葬式だって…全部、忘れられない。
泣き崩れるおばさんに寄り添いながらも、涙
で肩を震わせるおじさん。

宇都宮と片桐はお互いに手を取り合って慰め合いながら、泣いていた。

担任の芹ちゃんも、他のクラスのやつだって関わりが少ないのにも関わらず泣いた。



…あいつは、俺が思ってたよりも想世架自身が思っていたよりも。
みんなの心に、残っていた。

あいつの存在は、大きかったって改めて知らされたよ。



式会場が泣き声や嗚咽でいっぱいの中、白百合に囲まれた花祭壇。
その中で、綺麗に微笑む想世架。


俺が好きな、あの優しい笑顔。
あの写真は…俺と出かけた時に撮ったもの。






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