君が見せてくれた、私の世界
「巴、ちーちゃん!」


「あら、おはよう。」


「おはよう〜!
あれ、ちーちゃん顔色悪くない〜?」


「ん、まぁな。
つかちーちゃん呼びやめろ。」


「えー。
いいじゃん。
ちーちゃん呼び可愛いも〜ん。」



結局、2限の途中にきた七瀬。
相変わらず、どこかふわふわしてんなぁ…こいつ。
ミルクティー色のくるくるとした髪が風で揺れる。



「そういえば、お前の妹大丈夫だったのか?」


「うん。
夏風邪だって言ってた〜。
今は、2番目の妹が面倒見てる。」


「2番目…?
七瀬んち、妹多いの?」


「そうだよー。
えーと、長男が俺でしょー?
2番目の妹が今高2。
で、体調崩したのが3番目の妹。今、小学生。
ちなみに3番目は双子なんだよ〜。」



にこにこと指折り数えて話す七瀬。

なんだか嬉しそうだな。
意外と家族思いなんだよなぁ…こいつ。



「妹さん、早く良くなるといいわね。」


「うん〜!
俺の大事な妹達だから。
今度、巴とちーちゃんにも紹介するよ〜。」


「あら、楽しみだわ。
でも…いいのかしら…?」


「いいに決まってるでしょー?
巴は大事な彼女だし。
ちーちゃんは、俺の大事な友達だも〜ん。
…ねぇねぇ、今日はどこ行くのー?」


「そうねぇ…。」




大事な、友だち。
七瀬もそう思ってくれてるなら…想世架のこと、話せるんじゃねぇか…?


もう少しで、あいつの命日が来る。
いい頃合かもしれない。



「あのさ。
俺、行きたいところあるんだけど…一緒に来てくれないか?」



初めて、お前のところに連れていくよ。
お前が会いたがってた…俺の友達に。



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