君が見せてくれた、私の世界
「学校は…?」


「お休みするしかないわ。
今は、身体を治すことを考えましょ?」


「…そんなのひどい…。」



せっかく、学校行くのが楽しみになってきてたのに…!


クラスの子とだんだん仲良くなってきて、これからって時なのに…!



「…やっと、みんなと仲良くなってきたのに…。」


「そよ…。
元気になったら、また行きましょう?
お友達もきっとお見舞いに来てくれるわよ。」


「……。」


「じゃあ、ママ…もう面会時間が終わるから帰るわね。
明日、また着替えとか持ってくるから…。」



ママの言葉になんにも返さずに、私は窓の外に視線を移した。


既に夕日は落ちきって、夜の暗闇がこの世界を包んでいた。



まるで、今の私の心みたい。


真っ黒でなんにも映したくなくて。


学校に行けない、っていう事実を塗りつぶしたい。


こんな身体嫌だ、嫌いだ。


汚い感情が渦巻いて、真っ黒な闇を形成していく気分。



「……最悪…。」



こそっともらした本音は。


誰にも聞かれることなく、空へと消えていった。



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