君が見せてくれた、私の世界
「パパが買ってきてくれたの。
ねぇパパ。」


「あぁ。
出張で京都の方に行ったら、たまたま見つけたんだよ。」


「ありがとう。嬉しい。」



仮に…この膝かけをもらわなくても、きっと私は喜ぶと思う。


パパが、私の為にお土産を買ってきてくれたことが嬉しいんだから。


こんな迷惑ばかりかけてる私でも…娘でいさせてくれてるんだって思えるから。



「…っ…。」



ダメだ、ダメ。


最近…気がつくと、こういうネガティブなことばっかり考えてる。


せっかくの機会なんだから、今日は楽しまなきゃ。



嫌な考えを振り払うように、ふるふると頭を振っていたら。



「…わぁ…!」



ずらりと屋台が並ぶ、坂が見えた。


この坂を下ったら、こんなにたくさんの縁日の出店があるんだ…。



< 77 / 312 >

この作品をシェア

pagetop