君が見せてくれた、私の世界
嫌な気分で病院を後にした私の気分は、帰りに寄ったケーキ屋さんでも直ることはなくて。


つい、ママに対してきつく当たってしまった。



「ケーキなんていらないよ!
そんなに食べたいなら、ママだけ買えばいいでしょ!?」


「そよ……。」



私が時々きつく当たると、ママは怒ったりしない。


…そうやって、悲しそうで寂しそうな顔をする。



「……ごめん…。
私、フルーツタルト食べたいな…。」



だから、私だって罪悪感でいっぱいになってそれ以上言えなくて。


謝って、仲直りして終わり。


…昔からそうだ。


ママは変なところで優しいから。



「この間、おばあちゃんがお茶を送ってくれたの。
帰ったらお茶にしましょうね。」


「…うん。」



ママが運転する車に揺られながら、なんだかやるせない気持ちの私は家に帰った。





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