君が見せてくれた、私の世界
「本当に可愛い〜!」


「あ、ありがとう…。」


「まさかこんなところで会えるなんてー!
嬉しいなぁ…。
千暁と私、これでも付き合ってるから色々聞いてたの!」


「つ、付き合ってる…?」


「うん!そうだよ〜!」



杏が俺の腕に自分の腕を絡めてくる。


…なんだろう。


想世架には、知られたくねぇ…。


想世架の瞳がなんだか、また寂しげを帯びた気がした。



「想世架?」


「わ、私…そろそろ帰るね。」


「家まで送ろうか?」


「ううん、大丈夫。」



それじゃあ、と車椅子を自分で動かすと。


想世架はあの日みたいに、寂しそうな背中を見せた。



「想世架…。」


「大丈夫かなー?
…ね、私達も帰ろう!」


「…あぁ。」



ーー家に帰った俺は、気がつくとまた想世架のことを考えていた。


…なんであんなに悲しそうな顔をしていたんだ…?


いつもは、もっと笑っていなかったか?





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