君が見せてくれた、私の世界
「あれ、今日パパは?」


「パパ遅いんだって。
今日は、そよの好きな和食に揃えたの。」


「わ、ほんとだ…!」



揚げ出し豆腐に、ほうれん草の胡麻和え。


じゃがいものお味噌汁に、真っ白なご飯。


日本に来てから、ママが作る和食がやけに美味しく感じる。


きっと、日本の食材が良いから…?



「美味しそう…。」


「そよのためにママ、頑張ったのよー!
ほら、食べましょ!」



ママが座ったのを見て、いただきます、と手を合わせ。


お箸を手に取ると、ママの手料理に箸をつけた。



「そういえば、そよ。
さっきなにしてたの?」


「えっ!?」



突然聞かれて、思わず肩が跳ねる。


なにしてたのって…。



「携帯お守りみたいに抱きしめて…。
ママ、びっくりしちゃったのよ?」


「と、友達と…電話してた…。」


「そうなの?
ふふっ、可愛かったわよ〜。」



冷やかすように、ママが楽しそうに笑う。




< 98 / 312 >

この作品をシェア

pagetop