クールな御曹司の一途な独占欲
episode1
「僕は秘書なんていらないよ。あんまり人にあれこれ言われるのは好きじゃないんだ。仕事はちゃんとやるから、悪いけどキミはどこかに行っててくれないかな?」
柔らかい口調でニッコリとそう言ったのは森下本部長。
案内した本部長席にさっそく腰かけて几帳面に私物を入れ始めるけれど、ニコニコとした視線で私を追い出そうとする。
私は私物が置かれていく本部長席のデスクに、自分で用意しておいた小さな呼び鈴をコトンと置いた。
「そうはいきません本部長。社長から直々に、本部長の身辺のお世話をするように言われているんです。何でも言いつけて下さい」
「だから今言いつけているデショ?キミの力は特に必要ないよ、香坂さん。バイバイ」
バタン
これが先月『株式会社森下商事』に本部長としてやってきた御曹司・森下涼介と私のファーストコンタクト。
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